DX

デジタルトランスフォーメーションとは|概要・最新施策を徹底解説

POINT 近年はクラウドやビッグデータ解析、AIの活用が一層高度化し、さらにChatGPTなどの生成AIが登場するなど、デジタル技術が急速に進化・普及しています。これらのテクノロジーは、私たちの生活やビジネスの在り方を大きく変革し続けています。 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を経て、企業の働き方はリモートワークやハイブリッドワークなど多様化が進みました。一時的な措置ではなく、中長期的な働き方の定着として、組織体制や企業文化の再構築を迫られる企業が増えています。本記事では、こうしたデジタル技術の進化と働き方改革に伴い注目されるデジタルトランスフォーメーション(DX)について詳しく説明します。「DXとは何か?」という観点から、DX推進に伴う課題や最新のデジタル戦略等を幅広くご紹介します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略になります。経済産業省のHPには、以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービスビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

やや堅苦しい表現ですがまとめると以下がポイントです。

  1. 既存のビジネスの枠組みを整理のもと、最新のデジタル技術を活用
  2. デジタル技術を最大化するデータ利活用を実現
  3. デジタル化と言えど、顧客や従業員などステークホルダーの行動・心理を一番に考慮すること
  4. 1〜3を考慮し、新規ビジネスを創出・イノベーションを実践

デジタル技術の進化とDXについて

スマートフォンやSNS、クラウドなどの普及により、欲しい情報を簡単に手に入れたり、オンライン上で利便性や快適性を得る機会が増えました。たとえば、身近なコミュニケーションサービスとしてLINEやInstagram、TikTokなどがあり、それらを使って体験や情報を容易に共有できます。

さらにAI(人工知能)やビッグデータ、クラウド、IoT(モノのインターネット)などが高度化・普及したことで、企業や個人が利用するサービスに新たな付加価値がもたらされました。最近ではレコメンド機能や会話型チャットボットなどにより、個人の好みや行動を分析し、最適な情報やサービスを提供する事例も増えています。加えて、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を用いて仮想空間上でエンターテインメントやトレーニングを行うなど、新しい体験も活発に生み出されている状況です。

このようにDXは、私たちの生活だけでなく、あらゆる企業活動にも大きな影響を与え、新たな体験や価値をもたらしています。

DXに基づく体験のデザイン

企業がDXを検討する上で、最も考慮すべきは「DXに関与するステークホルダーの体験」です。例えば、以下があります。

  • 顧客体験(Costomer Experince)とは、顧客が企業の商品・サービスに興味を持ち、その商品・サービスを利用するまでの一連の体験
  • 従業員体験(Employee Experience)とは、従業員が会社の中で働くことを通して得る体験

これまでのIT活用は、日常業務の効率化やコスト削減が主な目的でした。しかしDXでは、ステークホルダーのニーズを踏まえ、体験やサービスをどのようにデザインし、どんな価値を提供するかが重要視されます。

企業はDXを通じて、顧客や社外パートナー、さらには社内の業務やコミュニケーションの在り方まで、包括的に見直すことができます。従来の枠組みにとらわれず、組織体制や企業文化を変革しながら、新たなビジネスモデルやイノベーションを生み出す動きが、今後ますます求められていくでしょう。

DXの注目背景

DXが注目される背景として、以下2つの例をご紹介します。

  1. 働き方と組織体制の変革
  2. 新たな顧客体験の提供(デジタルマーケティングを例に)

働き方と組織体制の変革

働き方改革とコスト効率の最適化

大きな観点として「働き方改革」と「組織体制の変革」が挙げられます。これは「日常業務の効率面」と「人件費などのコスト面」の両方に大きく関わるからです。企業にとって、業務の自動化やデジタルツールの導入による労働負荷の軽減は深刻化する人材不足への対応策となり得ます。

具体例として、経費精算や定型メール返信などルーティン作業に時間を取られている場合、それらをデジタル技術(RPAなど)で自動化・効率化することが可能です。紙媒体を使ったアナログ管理から脱却すれば、ペーパーレス化による業務効率向上と同時に、コミュニケーションのデジタル化も促進できます。

こうしたDX推進によって、従業員は付加価値の高い業務に集中できるようになり、結果として従業員体験(EX)の向上につながります。また、企業側も必要な業務に適切な人材を配置しやすくなるため、人件費削減や組織運営の柔軟性確保など、経営効率の向上が期待できます。

ポストコロナ下で進むリモートワーク・ハイブリッドワーク

コロナ禍によって急速に浸透したリモートワークは、ポストコロナの今も企業によって多様な形で継続されています。リモート会議やオンラインコラボレーションツール、電子契約など、デジタル技術を前提とした働き方は一時的なものではなく、企業文化やコミュニケーション手法を抜本的に変革する要因となっています。

DX推進に基づく働き方・組織体制の変革は、「長時間労働せずとも効率よく成果を出せる」「必要なときに適切な場所で働ける」など、社会課題の解決にもつながる取り組みです。

新たな顧客体験の提供(デジタルマーケティングを例に)

消費行動の「コト価値」シフト

近年の消費行動は「モノの価値」よりも「コトの価値」、つまり製品を所有するだけでなく、そこから得られる体験やワクワク感を重視する方向へシフトしていると言われています。若者の“車離れ”などの背景もあり、ブランド志向よりも「実際にどんなメリットがあるか」「どんな体験が得られるか」をベースに購買が行われる傾向が強まっています。

たとえば、Apple Watchが「時計=時間を確認する道具」という概念を覆し、健康管理やメッセージ確認など新たな体験を提供しているのはわかりやすい例です。消費者は体験を重視するため、企業は単に製品・サービスの機能や性能を訴求するだけでなく、「買った後にどんな良い変化があるのか」を明確にする必要があります。

デジタルマーケティングと顧客接点の多様化

企業と顧客の接点は、公式サイトやECだけでなく、SNSやオンライン広告、インフルエンサーとのコラボなど多岐にわたっています。特にInstagramやTikTok、YouTubeショートなどショート動画系SNSが若年層を中心に急速に広がり、商品・サービスの訴求チャネルとして欠かせない存在になりました。

こうしたデジタル接点の増加により、企業は顧客データを収集・分析し、One to Oneマーケティングに近い個別アプローチを行うことも可能です。適切なメディアを通じて、適切なタイミングでパーソナライズされた情報を提供することで、顧客体験の向上や売上増につなげられます。

一方で、デジタル施策が不十分だと新規顧客の獲得が難化し、競合他社に市場優位性を奪われるリスクがあります。DX推進に基づくマーケティング戦略は、変化する顧客ニーズと競争激化する市場に対応するために、ますます重要な取り組みとなっています。

企業のDXに対する課題

DXの重要性は理解していても、実際にはさまざまな課題が存在します。ここからは、DX推進における代表的な課題と、そのアプローチ例を紹介します。

まず、企業がDX推進する上で、以下のような課題が認知されています。

  1. 既存の枠組みへの固執・新しい技術への抵抗感
  2. ITに対する偏見や誤認識

既存の枠組みへの固執・新しい技術への抵抗感

DXでは、新たな事業やサービスを開始するにあたり、過去からの慣習や企業文化、業務フローの見直しが必須となります。しかし、日本企業では「伝統」や「これまでのやり方」を重んじるあまり、変化を拒む傾向が根強いとも言われています。

コロナ禍をきっかけにリモートワークが広がったものの、セキュリティ面の不安や対面至上主義などが原因で、導入が進まない例も見受けられました。新しい技術への理解不足や、推進役の曖昧さなどにより、DXに踏み出せないケースが散見されるのです。

ITに対する偏見や誤認識

「ITは業務処理を効率化するツールに過ぎない」という認識が残っている場合、IT導入そのものがビジネス成長につながるという発想に乏しくなりがちです。実際にはAIやIoT、生成AIなどを活用し新たなビジネスモデルを開拓している企業が世界的に台頭してきています。日本国内でも、ITがビジネスのコアとなる事例が増えている一方で、依然として「IT部門任せ」「社内の一部プロジェクト」として限定的に捉えられるケースもあります。

こうした偏見や誤認識を取り払うためには、経営陣のリーダーシップや全社的な意識改革が必要となります。

DX推進におけるデジタル戦略の検討

最後に、DX推進を見据えたデジタル戦略について、特に「顧客へのアプローチ」と「社内の働き方改革」の2つの視点で解説します。

顧客へのアプローチ

オウンドメディア 

「ウェブサイトを作成すれば商品が売れる」という時代ではなくなってきた今の時代、企業はLPを作成してもそれが商品購入のコンバージョン(CV)につながらないケースが増加しています。ウェブサイトを作る際は、サイト上で得られる顧客体験を十分に考慮し、サイトコンテンツや画面遷移を精緻化することが求められています。いわば、ウェブサイトに足を踏み入れ、商品購に至るまでのカスタマージャーニーを適切に描けるかが課題となっています。

また、ウェブサイトのデザインは、企業イメージに大きく直結するようになりました。少しでも不備があればマイナスイメージが拡散する世の中です。デザインの考慮も欠かせません。

デジタルマーケティング 

デジタル戦略実行にあたり、欠かせないものがデジタルマーケティングになります。上記ではオウンドメディアにおけるデジタル戦略について述べました。しかし、いくら素晴らしいコンテンツを有するメディアや顧客体験を創出しても、顧客に認知され興味を持ってもらう機会がなければ、結局のところ宝の持ち腐れ状態になってしまいます。

では、どのようにこの顧客認知の問題を解決するか。この解決策こそが、デジタルマーケティングの活用です。以下、マーケティングファネルの例を示します。

顧客認知度を向上させ興味を引き立てるアプローチでは、自社で保有するウェブサイト等のオウンドメディアだけでなく、Web広告等に該当するペイドメディアやFacebook等のSNSやブログに該当するアーンドメディアの有効活用が大切となってきます。顧客ターゲット層に応じた適切なメディア、適切なコンテンツを適切なタイミングで届けることが求められます。

デジタルメディアについて、もう少し踏み込んで考えてみましょう!商品やサービスを訴求する際、顧客セグメント毎に接点となりうるデジタルチャネルの考慮が必要と述べました。例えば、デジタルネイティブと言われる世代は、Lineやインスタグラム、TikTokがコミュニケーションの中心となっています。もう少し上の年代だとFacebookやTwitterが活用される傾向にあります。

商品・サービスのコンテンツを訴求する顧客セグメントが決まったら、その顧客が属するコミュニティの考慮が重要となります。「顧客体験(CX)を意識したコンテンツ」✖️「デジタルメディア」の組み合わせによって、商品・サービス購入のコンバージョンは飛躍的に改善することができます。

顧客体験(CX)

商品・サービス購入によってもたらされる新たな顧客体験(CX)を訴求できるか。加えて、顧客体験(CX)顧客のニーズや課題解決に対応したものになっているか。結論として、これら要素の検討に尽きると言えます。

まずは、自社の商品・サービスの把握に従事しましょう。そして、商品・サービス利用によってもたらされる価値を顧客目線で考えるのです。顧客目線で考える価値とは、以下の観点が十分に考慮されているかがポイントとなります。

  • 感情体験:ワクワク感・心地よさ
  • 商品・サービス機能利用体験:利便性
  • 自己表現に基づく体験:社会的ステータスの変化・成長意欲

こうした顧客の心理を踏まえ、自社商品・サービスがもたらす価値をしっかりと定義・訴求することが不可欠です。何よりも顧客ファーストの姿勢が、DX時代のマーケティングにおいては大きな成果を生む要因となっています。

社内の働き方改革

ここからは社内の働き方改革を実施し、従業員体験(EX)を改善するアプローチ方法についてご紹介します。ここで主な考え方は、顧客へのアプローチと近しい点が多いですが、大きく異なる観点は、会社の業務単位を軸とし、従業員体験をデザインするという観点にあります。

では具体的にどのように業務を改善し、DX推進の上で従業員体験を向上するか全体像を示します。

既存業務の現状把握

まずは、社内の業務プロセスを可視化し、どこに無駄や非効率があるかを確認します。ここでポイントとなるのは、いきなりITツールを導入しないことです。IT化に先立ち、そもそもの業務フローや組織体制が適切かどうかを検証していきます。

あるべき姿検討

既存の業務フローが可視化できたならば、業務上の各プロセスに潜む課題を洗い出す作業を実施します。例えば、経費精算業務はルーティンワークであるにもかかわらず、自動化非対応なため多くの従業員が手入力で対応している。従業員間のタスクやスケジュール管理は全てメールベースであり、管理が煩雑化しているなど。

課題を抽出した後は、業務フローのあるべき姿を考えていきます。例えば、ルーティンワークの自動化やコミュニケーション方法の最適化には、ITとの親和性を考慮し、ITパッケージソフト導入等を検討します。その他、組織構造再設計によるアウトソーシングやBPR(Business Process Re engineering)も対応策の候補になるでしょう。

このように幾つかソリューション候補を検討したら、従業員の働き方改善の視点やROI等の費用対効果の視点をもとに、理想のあるべき業務象とそこで用いるソリューションを評価・決定します。

業務改革実行(IT導入の場合)

業務フローの現状と課題、あるべき姿を定義し、ロードマップ策定まで終わると、実際に業務改革実行フェーズにシフトします。前述のようにIT導入観点では、業務改善の目的及び働き方に合うという視点で実施するのが理想です。加えて、業務全体を俯瞰したときに将来的なROIが見込めるかという観点も非常に重要となってきます。

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